「止めて!お願い、香澄くんに酷いこと言わないで!


わたしが、悪いの!わたしが、わたしが!」


シキが、俺の前に立ちふさがった。

まるで、香澄を守るみたいに、両手を広げて立ちふさがった。彼女と同い年になってしまった香澄は、それよりもはるかに幼く見えた。



俺は、ポケットから小さな箱を取り出した。

母親に渡すはずだった、プレゼント。


香澄が投げつけたプレゼントは、シキが持っていた。きっと、香澄がいつか迎えに来てくれたとき、渡そうと家の庭に埋めたんだろう。

シキを無視して、俺はしゃがみ込んだ奴の手に無理やりそれを握りしめさせた。


それを見た香澄は、あ、と小さく声を漏らしてそして、一気に心の何かが壊れてしまったみたいに泣き始める。


「姉さんは、捨ててなかったんだ」

はらりと、いびつに歪んだリボンをほどいて、ぼろぼろになった包装を取って───箱を、開けた。