「そんなもの人が作ったただの、まやかし」
───幽霊なんて、いない。
「だから、そんな噂だって誰かが作った作り話だよ」
───幽霊なんて、いない。
居心地の悪さと、押し付けるような圧力にだんだん息が出来なくなっていく。
自分の何かを、記憶にすらない何かを潰してしまいそうで、無くしてしまいそうで、壊してしまいそうで。
俺は強く手のひらを握りしめて、ただ時間が過ぎるのを待って、待って待っていれば終わると思って、目をつむる。
けれど、夕雨はそんな俺を許さなかった。
「だよね、スイ」
「……」
「だよね、スイ」
「……ああ」
頷いた。
別に拗らせる必要のない話だったから───、なのに。なぜか、ちくりとこころの奥が震えるほどの小さな痛みがして。



