あと、11分





「そんなもの人が作ったただの、まやかし」




───幽霊なんて、いない。



「だから、そんな噂だって誰かが作った作り話だよ」



───幽霊なんて、いない。



居心地の悪さと、押し付けるような圧力にだんだん息が出来なくなっていく。

自分の何かを、記憶にすらない何かを潰してしまいそうで、無くしてしまいそうで、壊してしまいそうで。

俺は強く手のひらを握りしめて、ただ時間が過ぎるのを待って、待って待っていれば終わると思って、目をつむる。


けれど、夕雨はそんな俺を許さなかった。



「だよね、スイ」

「……」



「だよね、スイ」

「……ああ」


頷いた。

別に拗らせる必要のない話だったから───、なのに。なぜか、ちくりとこころの奥が震えるほどの小さな痛みがして。