「シキは───その時には、もう、長くない身だった」 「うそ、嘘だっ。そんなの、絶対、違う、違う、違う……」 香澄が目を見開いて、何度も嗚咽を漏らしながら否定する。その言葉は、知らなかったからというよりは知っていたからこそ、否定しているような声音だった。 シキは、そんな弟の姿から視線を逸らすことなく、言った。 「わたしは、言った」 「シキは、言った」 「───お母さんを、よろしくねって」 「………………母さんを、よろしくねって」