分からない。
分からない、これをどうシキに伝えればいいんだろう。
家がなくなっていただなんて、跡形もなかっただなんて、そんなこと、言えるのか?俺に。
思い出も断片的だけだと、シキは言った。
でも、それでも、そんなこと言ってしまうなんて。
じゃり、じゃりっ、かき分ける。爪が痛い。軍手とか持ってこれば良かった、今更ながら後悔する。
それから数十分くらい経っただろうか、そろそろ腰と手の痛さが比例してきたころ───じゃり、じゃり、じゃ。
俺の手の先に、何か冷たい感触があった。
なんといえばいいんだろう、そうだ、缶だ。



