言葉が、出なかった。
目の前にある光景に、一瞬足が怯んで後ろに下がってしまう。もう一度地図と見比べて、自分が間違えていないことを確認する。
「……なんだよ、これ」
学校から出られないシキに代わってやってきた俺が第一に発した言葉は、それだった。
シキが言っていた、家。
シキが生まれてから、死んでしまうまでの間帰る居場所だった、その家は───跡形もなく、あったことすら疑うほど何もなかったから。
更地になっていた。周りには住宅がいくつもたっているのに、そこだけがぽっかりと空いていた。家の代わりに土地を安く売ります!と書かれた錆びついた看板だけが立っていた。
「……」
でも、探さなくては。
シキに頼られたんだから、探さなくてはいけない。
あらかたの家の場所や庭の場所を教えてもらっていたのは、幸いだった。シキ自身、目安になるように言っただけであって、おそらく家自体がなくなっていることなんて、思いもよらなかったろう。
(言う、べき……なのか)
庭があっただろう場所に腰を下ろして、俺は素手でそのまま砂利と石と砂の混じった地面を掘り起こす。
(……シキに、言うべきなのか)



