あと、11分


***

香澄がシキを視ることができないのは、おそらく〝死んでしまった〟という記憶が強いからではないかと、シキは言った。

何かあるはず、と思い悩むようにしていたシキは考えてみるから、もう帰ってといった。


驚いて聞いて見ると、どうやらシキはずっとこの学校で夜も過ごしているらしい。不用心な。俺のとこに来い、なんて恥ずかしい台詞を言ってみたけれど、シキは苦笑した。



シキは、この学校から出ることができないのだ。


そして、その日はシキと別れた。後ろ髪を引っ張られるような、曖昧な気持ちを残して。



「箱」

「はこ?」


次の日、午前の授業を終えた俺は、夕雨に捕まらないよう、そそくさと教室を後にして、待ち合わせていた特別棟の空き教室へ向かった。


積み上げられた机の上に座っていた俺は、唐突に言ったその言葉を聞き返した。


「うん。あの時、見えた箱」

「それが、どうした?」

「それを見つけたいの」