***
香澄がシキを視ることができないのは、おそらく〝死んでしまった〟という記憶が強いからではないかと、シキは言った。
何かあるはず、と思い悩むようにしていたシキは考えてみるから、もう帰ってといった。
驚いて聞いて見ると、どうやらシキはずっとこの学校で夜も過ごしているらしい。不用心な。俺のとこに来い、なんて恥ずかしい台詞を言ってみたけれど、シキは苦笑した。
シキは、この学校から出ることができないのだ。
そして、その日はシキと別れた。後ろ髪を引っ張られるような、曖昧な気持ちを残して。
「箱」
「はこ?」
次の日、午前の授業を終えた俺は、夕雨に捕まらないよう、そそくさと教室を後にして、待ち合わせていた特別棟の空き教室へ向かった。
積み上げられた机の上に座っていた俺は、唐突に言ったその言葉を聞き返した。
「うん。あの時、見えた箱」
「それが、どうした?」
「それを見つけたいの」



