「思い出したのは、断片的に……、たぶん、香澄くん……との記憶」
「アイツの」
シキ姉さんといったアイツを。
なら、
「やっぱりお前と香澄は、姉弟……なのか?」
「……多分、そうだと思う」
曖昧な言い方だった。
「最初にみえたのは、小さい香澄くんが泣く顔だった。
香澄くんは、わたしが何かを言おうと口を開いたら、ばかって、言って手を振り払った……わ」
ぼうっと遠くのほうを見ながら、シキはぽつりぽつりと語り始めた。
「手に、小さな箱を持ってた。ぐちゃぐちゃになるくらいに、強く握りしめていて。わたしは、とても悲しくて、でも、泣けなかった。……なんでだろう、ね。
香澄くんは、自分の持っている箱に気づいて───それから、ばんってわたしに投げつけてきた。わたしにあたった箱は、そのまま床に落ちた。
それから、言った。
───お姉ちゃんなんて、死んじゃえ。って」
死んじゃえ。
お姉ちゃんなんて、死んじゃえ。
その言葉は、頭の中でアイツが言っていた声と重なる。
───『いないんだよ。姉さんは、死んだんだから。俺が、殺したんだから』



