あと、11分


「思い出したのは、断片的に……、たぶん、香澄くん……との記憶」

「アイツの」

シキ姉さんといったアイツを。

なら、


「やっぱりお前と香澄は、姉弟……なのか?」

「……多分、そうだと思う」


曖昧な言い方だった。


「最初にみえたのは、小さい香澄くんが泣く顔だった。

 香澄くんは、わたしが何かを言おうと口を開いたら、ばかって、言って手を振り払った……わ」


ぼうっと遠くのほうを見ながら、シキはぽつりぽつりと語り始めた。


「手に、小さな箱を持ってた。ぐちゃぐちゃになるくらいに、強く握りしめていて。わたしは、とても悲しくて、でも、泣けなかった。……なんでだろう、ね。


 香澄くんは、自分の持っている箱に気づいて───それから、ばんってわたしに投げつけてきた。わたしにあたった箱は、そのまま床に落ちた。

 それから、言った。


 ───お姉ちゃんなんて、死んじゃえ。って」


死んじゃえ。

お姉ちゃんなんて、死んじゃえ。


その言葉は、頭の中でアイツが言っていた声と重なる。



───『いないんだよ。姉さんは、死んだんだから。俺が、殺したんだから』