あと、11分


「誰が、どこにいるって」


「ここに、シキがいる。シキが、ここに、いるんだ」


「ははは、なあ、本気でそれ言ってんの?」


自嘲。

香澄は怒りを爆発寸前で押しとどめるように声を潜めて、そういう。


「これが、おかしいって分かってる。でも、でも、いるんだ。ここに!

ここに、シキはいる。


 ───お願いだから、信じて」



そう言って、俺が顔を上げたとき。

目を、見開いた。それまで止めどなく紡いでいたはずの言葉が、詰まる

ほどに、時間が止まったみたいに。



香澄は───






「いないんだよ。姉さんは、死んだんだから。



 俺が、殺したんだから」





───そうぽつりと呟いて、黒い漆黒の瞳からポロリと涙を零した。