あと、11分


香澄は、どこに。

どこだ、どこだ、どこだ、……あ。


校門のすぐ、近く。家に帰ろうと門を出る直前の、奴の後姿が見えた。


「───おい!香澄!!」


気づいて、シキに。

祈るような気持ちで、彼に呼び掛けた。もし、こうして振りかえった時───香澄がシキを知っているのなら、視えているのなら、何か反応があるはず。


どうか、彼女を、泣かせないで。




「───何」



香澄が、振り返る。

だるそうに───俺だけに、視線を向けて、そういった。



(どうして、)


「お前、あの時の」


(どうして、)


「何、シーツならちゃんと届けたけど」


(どうして───世界は、シキを苦しめるんだろう)