あと、11分



「……夕雨って、奴がもしかしたら信じてくれるかもしれない」


夕雨。

俺の幼馴染で、頭が良くて、面倒見が良くて、まじめで、そして困っている誰かを助けられずにはいられないお人好しで。


でも返ってきた言葉は、


「それは、……それは、無理、だよ」


真逆だった。


「な、何で」

「それは、もう、無理だって……分かっているから」

「まさか」

返事はない。

それが、肯定だった。


俺は夕雨にその話を持ちかけて───失敗したのか。


「何度か試したけれど、彼女は彼女の思うところがある、から。きっとわたしみたいな不安定で、脆い存在を肯定することは、できないんだと思う」


何が起こったのか、とか聞くには俺は弱い奴過ぎて聞くことなんて、出来なかった。

これ以上夕雨に頼って、シキを傷つけるのは、だめだと本能が言う。