「……夕雨って、奴がもしかしたら信じてくれるかもしれない」
夕雨。
俺の幼馴染で、頭が良くて、面倒見が良くて、まじめで、そして困っている誰かを助けられずにはいられないお人好しで。
でも返ってきた言葉は、
「それは、……それは、無理、だよ」
真逆だった。
「な、何で」
「それは、もう、無理だって……分かっているから」
「まさか」
返事はない。
それが、肯定だった。
俺は夕雨にその話を持ちかけて───失敗したのか。
「何度か試したけれど、彼女は彼女の思うところがある、から。きっとわたしみたいな不安定で、脆い存在を肯定することは、できないんだと思う」
何が起こったのか、とか聞くには俺は弱い奴過ぎて聞くことなんて、出来なかった。
これ以上夕雨に頼って、シキを傷つけるのは、だめだと本能が言う。



