あと、11分


(……俺を、傷つけさせないために)


情けなかった。

自分は今の今までシキのことを忘れてしまっていて。それなのに、彼女はそんな俺を責め立てることも、泣きじゃくることもしない。そんな自分が、心底情けなかった。


「……時間が、ない」


シキは、言う。



「前は、スイが気づいてくれた、んだ。でも、それじゃあ遅すぎる、遅すぎる、から」


「───俺が?」


前の俺は、シキという記憶を消滅させていることに、気づいたのか?

それなら、何で何もしなかったんだよ俺は。
何か思いつくことをするべきだっただろうが、お前は何回シキを泣かせたんだよ。


……いや、違う。さすがに俺だって、何かするかも知しれない。前の俺ができなくても、その前の、ずっと先の俺が。