「わたしは───そこにいるようで、いない。いないようで、いる。そういう存在、だから。
たとえば、ここでわたしがスイと二人廊下で歩いていたとしても、わたしという存在を認識できる人は恐らくいないでしょう。
もともとわたしが〝視える〟人は、わたしのことをどこかで知っている人、だと思う。そうでなければ想像することすらできないもの」
「つまり、視えるやつにはいるから触れるけれど、視ないやつにはいないから触れない、ってこと?」
「うん」
シキが頷く。
しばらく、口が開かなかった。それは、どちらかといえば何も言うことが無くてというよりも、聞きたいことがあるけれど聞いていいのかわからなかったから。
「なあ、シキ」
ぼうっと窓の外を見ていたシキがこちらを向く。



