口元を綻ばせて───彼女は、微笑む。
「ごめん、ね。
ごめんね、これが我儘だって分かっているけれど。スイに、全部押し付けてしまうって分かっているけれど、それでも、わたしはあなたを信じようと思う」
何を言っているのか、理解できなかった。
でも、その言葉がすっと心に沁み渡るみたいに温かくなって、涙が止まらない。
(信じて、くれた。ほかでもない、シキが)
そっと、俺に触れた彼女の手に自分の手を重ねる。一瞬、震える。か弱い、細い華奢な指にほろりと涙が降りかかる。
そして、シキは透き通るように綺麗な瞳で俺を見つめながら、言った。
「───初めまして、わたしはシキといいます」
何度繰り返された出会いを、また繰り返す。
かち、っと俺たちのタイムリミットを刻むように時計の針が動いた。



