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教室に戻るころには、もう太陽が沈みそうになるころだった。
昼間は人通りの多かった廊下も、窓の外が藍色と薄紅色に染まるころにはほとんど人なんていなかった。
階段を上って、すぐの5組の教室。
夕雨がいたら叱られるかなぁとか思いつつ、ゆっくりとドアを開ける。
窓から洩れる夕日の光に照らされて、綺麗で誰もいないのかふわりと吹く風だけが音を立てる。……いいや、違った。
一人だけ、いた。
教室の窓側、一番後ろの席あたりにぽつんと、窓の外を見上げながら誰か一人だけ立っていた。
まるで世界から切り離されてしまったみたいに、一人だけ、立っていた。
その後ろ姿は、誰かを、ずっと待っているみたいに。



