───『生きる意味も、生き続ける意味も、分からなかった』
声がした。
それは、奴の声ではなく、頭に直接響いていて。
目の前が、真っ暗だ。
何も見えない。かつ、かつ、かつ、と2人分の足音が聞こえる。階段を、上ってる……?
視界は何も見えないけれど、触れた手のひらはあたたかくて、心地よくて、優しい香りがした。
俺が握り返すと、より強く握ってくれる。
───『ありがとう、頑張るよ』
そう誰かが、言った瞬間。ふわりと、足が浮き上がってそして、そして。
「───」
頭に、激痛が走る。
痛い、痛い。
後頭部をバットで殴られたみたいに、頭が熱くて熱くて、息がうまくできない。なんだよ、これ。
自分の体が自分じゃなくなるみたいに、痛くて。
締め上げられていた襟首の力が薄まって、そのまま俺の視界が暗くなっていくのが分かった。
最後に見えたのは、どこか知らない誰かに似ている奴の顔だった。



