ぞっとした。 背筋が凍ってたちくらみのような鈍痛が頭の中でぐるぐるとまわっていく。 課題を出したとか、帰りに誰と帰ったとか、そんな些細な記憶が俺には───ない。 忘れたんじゃない、もとからない。その事実に、ぞっとした。 そうだったとしたら、もしかしたら俺はずっと、ずっと心の中で引っかかっていることがある。小さな棘が、ずっと刺さっている。 もしかして、俺は。 何か、大切なことすら忘れてるんじゃないかって。 そんなの、それじゃあ俺は─── 「───スイ!」 後ろから、声がした。