しどろもどろで答えない俺をふんっと一蹴すると、


「今日はしっかり働いてもらうからね、スイ」


夕雨はそういって、すたすた行ってしまった。


「オイオイ、そんなに嫁さん怒らせないのがいいと思うぜ」

「……誰だ嫁って」

後ろから俺をからかう気満々の凪の声。

面倒に思いながらも、視線だけ後ろに向けてみると、案の定気持ち悪いくらいに口元をにやつかせた凪が立っている。


「さっそくだけど旦那さん」

「……死ねばいいのに」

「お仕事よ、夕雨さんからね。特別棟にでっかいシーツ取って来いって言われていますから、一緒に行きましょうか」

「はあ」

何でカマ言葉なんだよ。

でもここで断ったら、ますます面倒なことを押し付けられるかもしれないと思ったら、曖昧に頷くしかなかった。


「じゃ、黒板に書いてくか」