「じゃあ、じゃあ……!
かっ、紙に書いたり、そ、それから、写真とか、あと、あと……!!」
自分が、空回りしていることなんてとっくに気づいていた。
俺が口に出すたびに、シキは見ていて痛くなるくらいに悲しげに微笑むのだから。
「───全部、したよ。
思いつくことは、考え付くこと、全部、全部、試して何度も何度もやり直して……でも、でもね」
シキは、俺をじっと見つめた。
小さく微笑む彼女は、夜に咲く夕顔のように。
しとやかに、微笑みながら───夜の雨のように、静かに涙をぽつりと零して。
「だめだった。全部、だめだった。
手紙を書いた。でも、時間が過ぎればなかったみたいに消えてしまう。
写真を撮った。でも、スイの隣にはわたしの姿は、なかった。
約束をした。でも、そのたびにスイは、…………現れては、こなかった。
世界はわたしを、否定し続けて。
世界はわたしを、許してくれなくて。
世界はわたしを、殺し続けて。
───スイが、わたしを覚えていてくれたときは、一度もなかった」



