あと、11分



……何で。

何で、どうして、気づいてやれなかったんだよ……!


どうして、泣いているシキのそばに行ってやらなかったんだよ、何で、何で、何で。

大丈夫だから、俺がそばにいるからって、お前のこと忘れたりしないって、何で。




「それから、何度も何度も、何度も、何度も、何度も繰り返した。


 気が遠くなるほど、零れ落ちた涙だって枯れるくらいにどうしようもない過去を、未来を繰り返して───気づいたんだ。


 わたしは、わたしの記憶は、2819分で消えてしまうって……ことに」



疲れ切ったように、閉じた瞳を開いて、そっと遠くを見つめる。


一歩、前に出た。

無責任だって分かってるのに、俺がそうさせているってことも、分かってる、俺が最初に彼女に気づかなければ、こんなにもシキを傷つけることなんて、なかったんだから。


それでも、シキにそんな顔をしてほしくなかった。