「───でも、それが、偽りだって気づくのに、時間は掛からなかった。
2日後、わたしとスイは空き教室で、こうやって……話していたの。些細な話だった。春は桜が綺麗で、いいよねとか、学校は慣れた?とか、そんな些細な話だった。
……忘れもしない。話していたスイが、ふっと話を止めたの。
何かなって、思って私が顔を覗いたとき───スイが、口元を動かした。多分、私の名前を呼んだ。
その瞬間に、ぷつって糸が切れたみたいにスイの体が、ゆっくりゆっくり落ちていくのが、見えて。
慌てて、スイの体を支えようとした腕が───
───すうって、腕をすり抜けていった」
初めて、自分を視ることが、喋ることが、触ることができる存在に出会って。
そんなシキを、俺は、忘れてしまったんだ。
何も、喋れなかった。
シキにかける言葉なんて、なかった。
誰よりも彼女を傷つけているのは、自分なのだから。



