話しかける。 そのまま通り過ぎていく。 話しかける。 すり抜けていく。 そんなことを、何度も繰り返して、何度も何度も繰り返した。 それで、平気でいられる?……いられるわけ、ない。 9年なんて、短いかもしれない。 でもシキにとっては、永遠よりも長い苦痛でしか、なかった。 頼れる人も、信じる人も、慰めてくれる人も、誰もいない。誰も、気づいてくれない。 そんな残酷な、痛みしかない世界。 それが、彼女の世界だった。