「───シキ、は」 夕雨が、最後の力を振り絞るかのように言う。 「───シキの記憶は……っ、」 そこまで言いかけた、その時。 何かに憑りつかれたみたいに夕雨の体が───ゆらりと、ぐらついて足の力が抜けてしまったみたいに、ゆっくりと倒れこむ。 俺は反射的に夕雨の体を抱きとめた。 「夕雨?おい、大丈夫か、夕雨!?」 何度も揺らして、真っ青だった彼女の顔にだんだんと赤みが戻っていく。ほっとして、肩を撫でおろした。