そうだ、シキは言った。そう、言った。 あれ? じゃあ、なんで。 なんで、夕雨は。 ───シキが、女だって、分かったんだ? 俺は、シキが女なんて一言も、言っていないのに。シキって名前を聞いて何で、男かもしれないと思わない? ぐらりと視界が歪んだ気がした。どうして、どうして。 いまだに俺の名前を呼び続ける彼女の肩を、掴んだ。 訴え続けていた彼女はゆっくりと顔を上げる。その瞳は長らく見たことのない、涙でぬれていることに、俺は気づく余裕すらなかった。