何で、思い出してやらなかったんだよ、俺はっ!
逢いたいだなんて、一度だけでいいから逢いたいだなんて、無責任なことを口にして───その言葉が、シキを一番傷つけるのに。
もし、俺の考えが正しいのなら、昨日よりも前、おとといの時点で俺とシキはすでに出会っていた。
そして〝何らかの何か〟があって記憶が消えてしまうような理由が、出来事があった。
俺は、それを知っていたんだろうか。
数日前の俺は、シキの記憶が〝何らかの何か〟によって、消えてしまうことを。
……だから、待ち合わせした?
きっと思い出すから、きっと忘れたりなんてしない、大丈夫だよ心配しないで、なんて無責任な約束をシキとしてその日彼女と別れたんだろうか。
そうじゃないって、思いたかった。
そうなんだとしたら、俺はどこまで最低なんだよ、クズなんだよ。
彼女をあんなに泣かせておいて、お前は何言ってんだよ。
大丈夫だなんて、信じてだなんて、そうやって自分だけ安心させるために言って。きっと、シキのことを忘れないよ、ってそう言って。



