あと、11分


きっと、これも嘘。

彼女はどうして、嘘をつくのだろう。

どうして、本当のことを話してくれないのだろう。



俺は、手に持っていた本を棚に戻して───何気なく、声が震えないように聞く。






「───じゃあ、どうして。



 どうして、誰も……シキのことを、知らない……?」






緊張で、足が震えているような気がした。


嫌な汗が噴き出して、本当は聞くのだって怖くて耳をふさいでしまいたくなる。


でも、聞かないといけない。

知らないといけない。


また、彼女を失ってしまわないように。