「───スイは、私といたよ」
夕雨が、そういう。
はっきりと、断ち切るような口調で。
いきなり声を張り上げてそんなことを言うから、俺は少しだけ驚いて目を見開いた。隣にいた凪も驚いたように一歩足を後ろに下げる音が聞こえる。
そんな俺の変化にも気づかないほど、夕雨は余裕のない、いつもの強気な口調でもう一度念を押すように、言った。
「───スイは昨日、お昼私といた。そうでしょ?」
「……」
じっと夕雨が見上げて、無言の圧力をかけてくる。
(なんで、そんな───そんな焦ったような顔してる)
口に出そう、とのどの前までは思ったけれど、結局言えなかった。
だって、はっきりとした記憶がないから、多分そうなんだろう。俺は昨日夕雨と一緒にいた、んだと思う。嘘をつく理由なんてないし。
俺が小さく頷くと、夕雨は安心したようにほっと肩を撫でおろすと、いつものように強気な口調に戻っていた。



