それ以上彼女に何かを言うことは、出来なかった。
〝約束〟は破るためにあるんだから、結んでくれるだけでいいと俺が言うと、彼女は頑として首を縦には振らなかった。
〝約束〟は守るためにあるものだと、彼女は言った。
「あの時、シキは何で急にいなくなったんだよ。心配したんだけど」
図書室。
俺とシキは誰もいない(多分もう授業始まっているだろうし)図書室で、彼女が両手に抱えきれないほどの本を半分持ってやってくると、それを本棚に戻している最中だった。
彼女に聞きたいことは、たくさんあった。
どうして、あの日───突然消えてしまったのか。
どうして、あそこまで過剰に夕雨の名前に反応したのか。
どうして、……どうして。
どうして、誰も───誰も、シキを知らないのか。



