あと、11分




「───いなくなったり、しないで」



あの時、彼女がいないんじゃないかって不安に飲まれそうだった。

もう、そんな思いしたくない。


シキはしばらく動かなかった。それから、頷きもうんとも言わないでまた悲しそうな表情を浮かべて、


「……ごめんね」


そういった。

彼女は、約束をしてはくれなかった。また会える約束を、してはくれなかった。


「急に、俺の前から消えたり、しないで」

「……ごめん、ね」



欲しいのは、そんな言葉じゃない。

そんな、そんな辛い言葉が欲しいわけじゃない。