「ごめん、ね」 シキの優しげな声が心の奥底に詰まってたものを全部流してくれるみたいだった。ゆっくり、ゆっくり俺の頭をそっと触れるほどの力で撫でながら、言う。 「……待たせて、ごめん、ね」 シキの触れる手はやっぱり、冷たかった。 「シキ、お願いだから───」 そっと顔を上げる。 あの時転んでしまった彼女と一緒に倒れこんでしまった時よりもずっと近い場所に、シキの瞳があった。 シキの瞳が揺れる。 どうしてなのか、すぐわかった。 俺があんまりに苦しそうな表情を、していたから。