「ねえ、スイ言ったよね。私」 夕雨が一歩前に出る。俺もつられて一歩後ろに下がりそうになるのをこらえた。これ以上、彼女から逃げるのはきっと神様だって許してくれない。 「幽霊なんていないって」 知ってる、そんなの分かってる。 「昨日スイが誰と一緒にいたのか知らないけど」 止めて。 これ以上、言わないで。 俺から、シキを奪わないで。 「───シキなんて人、いない。 スイがどんなに必死に探したって、スイがどんなに必死に呼びかけたって答えてくれない」