あと、11分



言葉が出なかった。

正論過ぎて、嘘偽りない言葉が、胸に突き刺さる。


そう。


俺は───高校一年の春、夕雨に告白された。

告白されて、何も、返せなくてそのままずるずる知らないふりをした。夕雨のことは、嫌いじゃなかった。でも、彼女の〝好き〟は誰かを焦がれるような〝好き〟じゃなかった。

振れば良かったんだと思う。お前のことは、幼馴染として好きけれどそれ以上もそれ以下の気持ちはないって。


でも言ってしまったら───彼女との関係は今のままではいられない。


いつも飽きもせず、世話を焼いてくれるお節介な幼馴染。もし振ってしまったら、きっとそのままではいられなくなるから。

ずっと、知らないふりしてた。



声を振り絞って、


「……ごめん」

「それはどんなごめん?」

「……分からない」

「都合のいい話だね」


自分もそう思う。

都合いい時だけ頼って、都合の悪いときは突き放す。横暴だと思う。