あと、11分




周りを見渡す。



教室とは真逆の特別棟の廊下。今までなりふり構わず走っていたから、自分がこんなところまで来ていたなんて、全然分からなかった。


夕雨は掴んでいた袖をすっと離すと、



「さっき……、さっき教室に凪くんが来て。

スイの様子がおかしいって慌てて私に言いにきたの。ねえ、スイ」



「……余計なマネして。俺のことは気にしなくて、いいから」


一人にしてくれ、という間もなく夕雨ははっきりとした口調で、言う。






「スイらしくないよ」


───俺らしい?

俺らしいって、なんだよ。


どうでもいいことをしないで、並みの人生に身を置いて、誰からも好かれないで、誰からも嫌われないような、当たり障りのない関係ばっかり作って。

本気になるのが、本気になって、裏切られるのが怖いからけだるいっていつものように偽って、やること全部適当にやって。