あと、11分



それなら、それでいい。

これがもしかしたら、悪夢なのかもしれない。

俺はずっと、長い間夢を見てて本当に長い長い夢を見てて。

そうだ、どっかでほら、階段とかで足を滑らせてそれで、意識を失ってしまった。




ずっと、病院のベットの上で馬鹿みたいにすやすや眠ってて。


このまま倒れて気でも失ってしまえば───シキのいない、こんな悪夢から目覚められる。


……こんな都合のいいこと、あるわけないか。


噛みしめた唇から血が出たのか、口の中に鉄の味が広がる。

息がもう、限界で俺はだんだん足のスピードが遅くなっていく。そして、立ち止まったその時。





「───スイ!」


ぐいっと誰かに引っ張られた。