自分だけが異常者で、世界から切り離されてしまったかのような錯覚に陥る。
それが耐えられなくて、そのまま下を向いて走り出す。
後ろで俺を呼ぶ声がしたけれど、一度も振り返ることなく走り続けた。
昨日、一年生だけでは飽き足らず、俺はそのあとも2年、3年とシキという人がいるか聞いて回った。けれど、彼女を知る者はおろか、見た者すらいなった。
ぐるぐる彼女のことだけが頭によぎって、結局、眠ることなんてできなかった。
彼女は、いたんだ。
本当に、彼女は───俺のすぐそばに、いたはずなのに。
なんで、なんでみんなシキをいないことにしようとするんだろう。
シキとあえて嬉しかった気持ちも、シキと話せてくすぐったい気持ちも、シキに触れて緊張した気持ちも全部、俺の中にあるのに。
ふとした瞬間に、シキの声も顔も、忘れてしまいそうになる気がして怖かった。
俺まで、みんなみたいにシキをいなくなったとすら思わなくなるかもしれないから。
自分の足に追いつかなくなっていく。
きゅううっと肺が締め付けられたような痛みと、心臓が破裂しそうなほど鼓動を打ち付けて今にもぶっ倒れそうだった。



