あなたがいてくれたから


〜side高野勇士〜


如月の話を聞いて、俺はずっと黙っていた。なにを言っていいのかがわからなくて…

(如月は、ずっとこんな思いをしてたんだ。それを、俺はなにもわからず)


俺は、ただただ如月を抱きしめることしか、できなかった。

・・・強く、強く

「た…高野、苦しい」

「あ…ごめん」

(・・・!)


如月を一旦離して顔をみたら、目が赤く腫れていた。


(どんだけ、辛い思いを…)


「如月、


俺を家に連れて行ってくれないか」


如月は驚いていた。
…当然だけど。


「なんで?」


「お前の、お母さんと話がしたい。
安心しろ。もう、お前を傷つけない」


俺は、もう一度如月を抱きしめた。