声優さんにとってファンの存在は宝物だって、流星は言ってた。だから、ファンに読まれるインタビュー記事にウソを言ったりはしないはず。
とはいえ、こんなにもアッサリ失恋コースが確定してしまうのも悲しい。
私はこれといった取り柄がなく冴えない容姿の女だけど、ちょっとは流星に意識してもらえるようにって色々頑張ってるのに……。
まあ、仕方ないのかな。流星が仕事一筋になるのは分かる気もする。
昔から流星は声優になりたいと言ってたし、その夢が高じたのか、よく、人気マンガの朗読をしてくれたりもした。
その時間が何より大好きだったし、流星の演技力はその時からすごくて、流星がキャラクターに声をあてると色のないマンガの絵が本当に動き出しそうな気がした。
戦隊もの。恋愛もの。バトルアクション系。歴史物。ファンタジー系。私は昔から色んなアニメに興味を持ち様々なジャンルの物語をテレビで見てきた。
だからこそ、流星が声優になたりたいと夢を語ってくれた時はテンションが上がったし、自分のことみたいに嬉しかった。
流星が声優養成学校を好成績で卒業した時、私も、貯金をはたいてお祝いした。流星も嬉しそうにしていた。
流星が初めて声優として出たアニメは有名な作品だった。新人だったからか、その時流星は一瞬しかしゃべらない脇役を演じただけだったけど、それがものすごく嬉しくて、私は録画したそのアニメを繰り返し見て嬉し泣きをした。


