「上手いな。また腕上げた?」

 どちらかともなくヨーグルトを食べ終えると、デスクに向かう私の背後からパソコン画面に写る描きかけのイラストを覗きこみ、流星が言った。

「相変わらずかっこいいイラストだな。ちょっと妬ける」
「えっ……?」

 妬けるってどういう意味?流星の何気ない冗談に、私はいちいちドキッとしてしまう。

 今描いているのは、時々私のイラストを落札してくれる女性落札者さんにリクエストされたリザードの擬人化イラストだった。もちろん、女性向けだからかっこいい青年を描いた。

 私が男性キャラを描くことに妬いてくれる?そんなこと、あるわけない。

「なんてな。俺はそんな心狭くないしっ」

 ほらね。やっぱり。
 流星の軽い反応に、こっちの方がヤキモキさせられる。

 そんなこっちの気も知らず、流星は「あっ、これ!」私のデスクに立ててあった真新しい声優雑誌を見つけて、それを見ようとした。

「そういえば、流星が出てるページもあるよね。新アニメ情報見たくて買ったんだ~」

 流星のページを見るのは雑誌に載ってるアニメ情報を見るついで、みたいな言い方をしたけど、本当は流星のインタビューページ(写真付)を見たくて買った。まだ目次しか見てないけど、後でゆっくり読むつもりだった。

「ミユ、これ見てたんだ……。そっか。どうしよ……」

 流星は、なぜか、困った顔をする。