この時間が、私は大好きだった。流星を独り占めできるから。

 同じものを食べながら、今日あった収録の話や声優仲間との出来事を聞く。流星がいちばん輝いて見える瞬間。

 社会に出たことのない私が偉そうに言えないけど、働く男の人ってかっこいいなと思った。きっと、裏ではいい仕事をするために日々努力してるんだと思う。

 流星の出てるアニメは全部チェックしている。

 私は『幼なじみの妹として』彼の演技に対する感想を言ったりした。

「流星、あんな悪役もやるんだね。最近のアニメではいい人役が続いてたから、あの迫真の演技はドキッとしたよ」
「ありがとな。ミユにそう言われると、嬉しい。頑張って練習して良かった」

 クシャッとした笑顔を見せて、流星は私の頭をなでてくれた。妹扱いしてるからこうやって気楽にスキンシップを取れるんだろうけど、やっぱり、嬉しい。

 流星の大きな手が頭に触れるたび、私の胸は破裂しそうになる。やっぱり、好きでいることをやめるなんて無理みたいだ。