でも、アニメ関連商品にばかりお金を注ぎ込むわけじゃない。

 二ヶ月ごとに美容院に行って(かなり苦痛な時間だけど頑張って気合で)髪を綺麗に整えてもらうし、コスメショップで美容部員のお姉さんを相手にしながら自分に合うコスメを買う手助けをしてもらっている(この瞬間も毎回冷や汗かくけど)。

 いつ流星と顔を合わせても綺麗な自分でいたいから、苦手な人間と関わりながらその季節ごとのトレンドファッションにも手を出した。


 流星は声優として人気がある。いつか見せてもらった彼のスケジャール帳は、アフレコやイベント出演の予定でいっぱいに埋まっていた。

 彼の声は、昔からかっこよくて私好みのトーンだった。大人になり声優デビューしてからはさらにテクニックのきいたイケメンボイス(通称イケボ)になっていた。養成学校に通って、声のトレーニングとか色々したんだと思う。

 そんな彼が人気になって誇らしい気持ちはあるけど、日々女性ファンも増えて、声優雑誌などに顔出しすることが多くなってからは、正直嬉しくない。

 彼がアニメ声優を目指していることを最初に知ったのは私なのに。彼の最初のファンは私なのに。彼の笑顔を大好きになった最初の女は私なのに。

 ……そんな、ヤキモチにしては行きすぎな黒い感情でおかしくなりそうな日もある。