声を聞くたび、好きになる


 本当なら、今ごろ私も二十歳の女としてそれなりに忙しくしてなきゃいけないんだろうな。

 流星の作ってくれたハムエッグを口にしながら、ぼんやりそんなことを考えてしまう。


 スマホ片手に、モモのブログを見た。そこには、大変そうだけど充実した毎日を送るモモの日常が綴られていた。

 各務モモ(かがみ・もも)は、小学校の頃から仲良くしてくれている私の唯一の友達で、小学校から高校まで同じ学校に通っていた。


 モモは私と同じくらいアニメが好きで、クラスでも目立たないタイプだった。

 そのせいか、学生時代、派手目なグループのコ達から見た私達は地味に映ったみたいだけど、それでいじめられたりもせず、平穏にやっていた。

 皆、クラスで目立たない私達のことをおとなしいタイプだと決めつけていたけど、実際はそんなことない。アニメの話になると私とモモは盛り上がったし、高校を卒業する前までは、休みの日を利用して声優さんのイベントに参加したりもしていた。

 でも、最近ではメールだけの交流になっていて、私はそれが少し寂しい。学校を卒業してしまうとこんなものなのかな?

 モモは将来の夢のためアニメーションについて学びたいと言い、高校を卒業後はそういうのを学べる専門学校に入った。そこで気のあう友達が何人かできたらしく、週に何度か、ブログでその様子を語っている。