声を聞くたび、好きになる


 翌朝、私はなぜか自分の部屋のベッドに寝ていた。流星は?もしかして、あれは夢?

 確認するためリビングに行ってみたけど、流星の姿はなかった。

 ……やっぱり、夢だった??そうだよね。


 体に触れた流星の感触は今もはっきり覚えてるけど、流星を思うあまりに見てしまった幻って可能性も高い。

 思い出すと恥ずかしくなるから、なるべく考えないでおこう。


 朝ごはんの用意をするためにキッチンに行くと、テーブルにはすでにハムエッグが用意されていた。お母さんは今、仕事で他県に行ってるからいないはず。

「誰が作ったの?」

 恐る恐るテーブルに近付くと、ハムエッグがのったお皿のそばに、走り書きのメモがあるのに気付く。

《ねぼすけな妹へ。

夕べはタオルケットありがとう。ちゃんと朝ごはん食べるんだぞ。仕事行ってくるな。

流星》

 流星……!やっぱり、昨夜来てたんだ!私の妄想じゃなかった!

 メモにある『妹』って言葉に胸がチクリと痛むけど、こうやって朝ごはんを作っておいてくれたことは嬉しかった。

 流星が声優になる前、私達はしょっちゅう一緒に朝ごはんや夜ご飯を食べていたけど、流星が忙しくなってからはそんな時間全くなかった。だから、こういうことがあるとなおさら胸にしみる。