寝てるクセにどこにそんな力がっ……。
抱きしめる流星の腕はたくましくて。よく知る幼なじみであることがウソみたいに思えてくる。
耳がおかしくなってしまいそうなくらい、心臓の音が響く。流星の胸が想像以上に広くて、そして、熱くて。
普段流星の服から漂うアクアマリンみたいな香りに混じって、流星自身の匂いがした。女の人にはない男の子の匂い……。
「ミユ……。むにゃむにゃ」
ん?なんか、お酒くさい?
流星がいきなりリビングで寝てたり抱きしめてきたり、と、あり得ないことの連続で気付かなかったけど、流星はお酒を飲んでいるみたいだった。
だよね。いくら何でも、幼なじみの私に抱きつくなんて、しないよね……。
仕事の後、仕事の人と飲みに行ったのかな。
ドキドキしながらもしばらくされるがまま、私は流星に密着していた。
普段はまじまじ顔を見られないけど、流星が寝ているおかげでじっくり彼の顔を見れた。
昔の面影を残しつつも、流星は大人の男の人って感じがした。頬や首筋、喉元が私とは違ってて……。
形のいい唇も……。この口で、声優の夢をつかんだんだよね。
今だけ、流星を独り占めしていたい。今だけでいいから。
これが、彼氏としての流星だったらいいのに。
そう思いながら、私は、流星の胸に顔をうずめていた。


