声を聞くたび、好きになる


 分かっていても、なんか、素直になれない。

 こんなに好きなのに、幼なじみっていう属性が邪魔をする。


 流星は、昔からちょこちょこモテていた。バレンタインにチョコをもらってることも何度かあったし。

 なのに今まで、誰かと付き合ったとかそういう話は全く聞いたことない。

「流星は誰とも付き合わないの?」

 高校の頃、流星に訊いたことがあった。その時はたしか、「今はそれどころじゃない。声優になりたいから」と言ってた。

 声優って職業が本当に好きなんだなぁと思う。分かっているのにどこか納得できなくてモヤモヤもする。


 もうすぐ22時。流星が声優として出演しているアニメの放送時間だ。

 お菓子と飲み物を用意し、テレビの前に座る。

 考えてもどうしようもないことを延々考えそうになった時はアニメ鑑賞が一番だ。

 このアニメは、流星が主人公の声をあててる恋愛ものだから、作中で何度か流星は恋愛っぽいセリフを言う。私はひそかにその場面を観るのが楽しみだった。

『何で分からないんだよ……!お前のこと、こんなに好きなのに』

 ああ、キュンキュンする。役のために出した声だと分かってても、流星のこういうセリフや声を聞くたびに、私は彼のことを好きになる。