別れを覚悟した。大事な人なのに、傷つけた。
謝る言葉が見つからなかった。

でも・・・秀樹は言った。
「やり直そう。許すから。」

「え?」
耳を疑った。

「俺はやっぱり、お前が好きだから、別れることは出来ない。
 お前たちを会わすことは、もうできないけど…。
 今回のことは許すから、なかった事にしよう。。」

言葉が出なかった。申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
絶対、失ったと思ったのに。

私は、もう決して、この人を裏切っちゃいけないと思った。
本当に、大切にするべきは、この人なんだ…。

「ありがとう。」
私は、彼の提案に甘えた。

ココロを入れ替えようと思った。
今度こそ、絶対に、この人を…。

そう思ったのが間違いだったんだ。

それが、私を許せなかった彼の復讐の始まりだってこと
気付けなかった。

短く、少しぎこちない幸せが訪れて・・・

やっぱり大好きだって思えた頃に
彼の態度が不自然に冷たくなっていって…

会えない日や、早く帰る日が増えていって…

明らかにおかしいなって、思い始めて。

不満を言ったら、喧嘩になって、
エスカレートして別れ話になって・・・

強がってカマかけたんだ。
「どうせ、浮気してるでしょ?
 何人、女おるん?
 最後ぐらい、ホントのこと言ってや。
 どうせ、別れるんだから。」

正直聞くのは、怖かった。
もしかしたら、ホントに女いるの?

「10人。」

「はぁ?」

「10人付き合ってる。」

絶句。初めて付き合った人に・・・10股かけられた。

私がきっかけを作ったかもだけど…

「おれ、お前がヒロと、ああなった時から、ずっと決めてた。
 もっともっと俺のこと好きにさせて…
 ボロボロにしてやろうって・・・。」