その年末年始も、
県外の祖父母の家に来ていた。

大輔は仕事もあり、私の借りている
部屋に残って、一人、生活していた。

最初のうちは良かった。

だんだん連絡がつきにくくなった。

自宅電話にかけても話中が多い。

おかしい、自宅電話で長電話する
相手なんていないはずなのに。

携帯は、かけても出ず、
かけ直してくるし、いちいち
言い訳がましい。

私は大輔の一番仲良い友達Tに
電話してカマをかけた。

「大輔、女といるよね?
相手知ってるでしょ…教えて。」

『いや、俺は…』

「知らんって言って、後で
関係してたら許さんよ?
大輔は最後には全部、白状するから
下手にかばわん方が良いよ?」

彼はペラペラしゃべり始めた。

私が出掛けた後、女の子紹介してと
言われて、知り合いの子を
連れて、うちへ行ったこと。

二人が意気投合したこと。

結構、本気っぽくなってたこと。

安達祐実に似た可愛い女の子ってこと。

私はTを脅して、
相手の女の子の電話番号を聞いた。

その番号を登録した瞬間、携帯がなった。

今、登録した女の自宅番号からだ。

一瞬、困惑した。

「私、まだ、かけてないよな?」

とりあえず、電話に出た。
何もバレてないと
思ってる大輔からだった。
もう、その電話自体が動かぬ証拠。

「ねぇ、この電話番号どこ?」

知らぬふりで答えた。

『あっ、会社の社長のとこ
世話になっとんよ、今。』
「は?嘘つくな。
○○(女の名前)んちから、
かけよんだろ?どういうこと?」

彼は驚いていたが全てを話した。

そして奴のパターン…
本気になって、家族にまで挨拶して
結婚の約束して、処女いただいて…

しかも、私と暮らしてる部屋で
私のベッドで…
私のお風呂に入らせて…

信じられなかった。
またか、とも思った。

一緒に住んだら全て
うまくいくはずだったのに。

たった5日離れてもダメなのか。

しかし、相手の女の自宅電話から
彼女の携帯に電話するこのうかつさ。

下手くそにも、ほどがある。

大輔は、その女の家に住み込んで
その女の家の自営の職場で働くと。


結局、私は荷物をまとめて、
不意討ちで、次の日帰る予定にした。

『また、大輔?何回目よ?』

一緒に来ていた姉が、心配して
ついてくると言った。


子供をおろした時、
これから先、俺が支えるから、
と言ったのは、一体なんだったんだろう。