ある日の昼間、ふと智ちゃんに
「何しよん?」って電話したら

『部屋の掃除』って言うから
「手伝おうか?」って
スルー覚悟で言ったんだ。
そしたら、まさかの
「うん、手伝って。」って…

私は家の場所きいて、
タクシーですぐ、行った。
裏口から智ちゃんの部屋に入って…

片付けを手伝った。嬉しかった。

あの智ちゃんの部屋だよ?

恋い焦がれた人。

最初に張り切って、マガジン片手に
「これ、捨てていいの?」って聞いたら、

『だめ。今日買ってきたやつ。
まだ読んでない。』
なんて、お互い笑ったんだ。

それから、後日の夕方。
逆にふと、智ちゃんから電話があった。

『お前、まだ、あの男んち泊まっとん?』

大輔のことは好きだったけど
智ちゃんの手前、ちょっとかっこつけて

「だって他に行くとこないもん。
じゃ、智ちゃん泊めてよ。」
って言ったら
『また夜に電話して。』って…。

期待は高まった。
これって良いよって事?

あの日は多分、一生忘れられない。

夜電話したら、来ていいよって…

もう、マジまさか、まさかの
お泊まり。でもね、彼女いるって
噂聞いてたから、カマかけたんだ。

「くつ、ここ(裏口)置いてて
大丈夫?彼女とか急に来ないの?」

『いや、くつ、隠しとって。
もし、女来たら、玄関から
サッと出て、帰れよ?』
ひどい…(笑)

1つのお布団で一緒に寝るから

当然、Hな雰囲気になるよね?

今度こういう機会があったら
必ずやる、って決めてたんだけど…

大輔のことが頭をよぎった。
一応、私は彼氏持ち。
でも大輔は浮気ばっかだから
私だって良いじゃないか…
浮気どころが相手は大本命だし。

でも、それより、気になったのは
智ちゃんに彼女がいたこと。

つまり、私はやるだけの女で
終わるってこと…。

それに耐えられる?

私の性格上、やったら気持ちが
もっと入る。強くなる。

ただでさえ、待ち伏せしたり、
修学旅行休んでまで会いに行った
自分のストーカーぶりが心配なのに…

やったら、もう
押さえられないかもしれない。
智ちゃんに迷惑かけるかもしれない。

自分自身が、どうなるか怖かった。

だから、あれだけ夢見たそのシーンで…

あれだけ誓ったその行為を…
(智ちゃんの場合⑧片想いの向上心参照)

私は再び拒んだんだ。