大輔との電話をかわった智ちゃんは
まず、自分を名乗った。

大輔からしたら
手の届かない、名前だけはよく知ってる
雲の上の存在で…

「あっ、はい、はい、すみません」
みたいな感じ。

智ちゃんは
『お前、何で電話してきたん?』

「いや、マーヤ(私)が心配で…」

『心配?心配ならお前が出てこいよ。』

「えっ、いや。」

『出てこんのなら、中途半端に
心配とか言うな。
女一人でよこしといて今更。』

「すみません、あの
どうなったんですか?」

『は?もう、お前に関係ないよ。
女が全部、話つけたから
お前の出る幕ないし、
心配もせんで良いよ、
お前には何もせんから。』

電話を切ったあと、智ちゃんは

『お前、ダメだ。この男…。
自分は出て来んくせに
結果だけは気にして…。
俺が、お前(大輔)には何もせんって
言ったら、安心しとったぞ。
俺は、こういう奴は好かん。』

正論でカッコいいけど…

大輔からしたら智ちゃんは
上の人間過ぎて…
怖くて仕方ないんだよ。

10万円は、いたいけど
話がついた後から考えれば…

智ちゃんと会えて話せて…

間に入ってくれたのが
智ちゃんで良かった。

また、お金渡すときにあえるとか
連絡とる口実が出来たとか
恋心は健在だとか

そんなことを考えて
少し浮かれながら
大輔の家に帰ったんだ。