あんなに好きで、あんなに手の
届かなかった智ちゃんから
突然、電話が鳴った。

けど、決して
喜べる状態じゃなかった。

智ちゃんがアタマをしてた
暴走族の現役部隊にタンカを切って
帰ってきた後だったから。

おそるおそる電話に出る。

『お前の男、アイスクリーム
買わんかったんだって?』

「私が買わさんかった。」

『お前は良いよ、地元の人間じゃ
ないし、女だから。
でも、男はまずいだろ。
とりあえず、男、差し出せ。』

「やだ。」

『わかる?やだで、済まんの。
みんな、探しよるよ…
家もバレてるから…自分から
出てこんなら、家までいって
捕まえるよ?お前、巻き添えくうよ?』

「いいよ、私が守るから。」

『俺は下の子から話が回ってきて
たまたま、お前の名前が出たから、
知り合いやけん、ちょっと任せてって
わざわざ間入って電話したん。
男出さんなら、お前が話つけるか?
今から、1人で出てくるか?
覚悟決めて来いよ?
俺は…出来れば男を来させるべきだと
思うけど…誰かがケジメとらなな。』

「行くよ。」

私は呼び出された駅に行こうとした。

大輔は止める。

『ただじゃ、済まんって。』

「でも、アンタが行ったら多分
ボコボコにされるよ?」

『でも…。』

「もし、私が、
まわされても(みんなで強/姦)
捨てんといてよ?
殺されやせんって。」

『一緒に飛ぼう。(遠くへ逃げよう)』

「無理だって。」

私は大輔の手を振りほどいて
飛び出した。これで良い。
でも、どこか、悲しかったんだ。

大輔は男だから、本気を出せば

力ずくでも私を止められたはず。

でも、そうは、しなかった。

結果、私を行かせた。

彼は怖かったと思う。

でも、相手が智ちゃんとはいえ、
裏の顔、丸出しバージョンだったから
女の私が…
怖くないわけがなかったんだ。