急な帰省だったが、高い旅費と
長い時間をかけて
戻ってきたのだから、私は
しばらく大輔の家に泊まり込んで
久々に恋人らしい時間を過ごした。

駅での一件の翌日
私は改めて恵を呼び出させた。

今度は暴力なしで話し合おうと言った。

スッキリしなかったのだ。

怒りにまかせて、無理やり
引き離してはみたものの
もし二人の心が通じあったままなら

私が大学に帰ったあと
距離には、また負けるかもしれない。

お互いのために
決着をつけようと思った。

恵は出てきた。
やはり、大輔の事も
あきらめきれなかったのだろう。

そりゃ、そうだ。
私が現れるまでは
ラブラブだったのだから。

今度はカラオケで、ゆっくり話した。

大輔は
『俺をおいて帰ったお前より
俺のために全てを捨てて
帰ってきてくれたマーヤ(私)をとる』
と、恵に言った。

私は落ち込む恵に
昨日の件を謝り、大輔は渡せないと
優しくさとした。

彼女は最後には納得し
『話せて良かった。』と
身を引いた。

彼女も、また被害者だと思う。

バイト先で彼氏ができて
処女を捧げて、親に紹介して
結婚の約束までして…

ある日、突然このピリオドだ。

今なら、
相手の事も考えられるけど
当時の私には彼氏が全てで…

相手が誰であろうと
彼を手放す気はなかったんだ。

こうして、しばらくの再会の後…

私達は、また遠距離に戻った。