その日も、私は智ちゃんに会いに…

っていうよりは、ただ見かけるために

そのゲーセンに足を運んだんだ。

土曜の夜で、人は多かった。

私は仲の良い女友達と四人でいた。

私と、もう1人の女の子と双子が一組。

たまたま通りかかった
別の女三人組の1人の事を
可愛いかブスかという話を
友達にふられたんだ。

知らない人だから、どうでも良くて…

ブスって程じゃなかったし
人の事、言える立場じゃなかったから
最初は言葉を濁したんだけど

皆がブスだよね、みたいに
激しく同意を求めるから
話を合わせて、うんって言ったんだ。

それから、1人は彼氏んち行って
私は1人で別の溜まりスポットのぞいて

双子と約束してたからまた、
ゲーセンに戻ってきたんだ。

そしたら、なんと…
双子がさっきの三人組といる。

和気あいあいしてて、様子が
おかしい。私を見つけて皆が
近寄ってきた。

三人組の1人が
キツイ口調で私に言う。

『あんた、私の事ブスって言ったんだって?』

えっ、って感じだった。

私が別の場所に行ってる間に
何があったかは知らないが…

「言ったけど…その子達も言ったよ?」

『嘘つき!この子達は言ってない。
アンタが言い出したって聞いたよ。』

マジ、耳を疑った。

後で知ったんだけど、その女は
そこでは有名なヤンキーらしい。

ちなみに、年上だ。

『アンタ最近、よく見かけるな。
目障りなんよ。
智くんが目当てなんだって?
アンタなんかが相手にされる
わけがないやん。もう来るな。』

そのあと、ケジメって殴られて…

色々言われたけど…
他は我慢できたんだ。

ただ智ちゃんの名前が出たことが
許せなくて…双子がペラペラ
しゃべったって事でしょう?

大切な気持ちをバカにされたこと…

引き返せなくなって…

この時、実は車に別の先輩を
待たせてて、かなりヤバイ人で…

一度戻って、状況報告したら
『行こうか?』って
言ってくれたけど
「自分でケリつけるから良い。」って

上着だけ預かってもらって
またゲーセンに戻ったんだ。

双子は、トイレに居た。

「ねぇ、智ちゃんの名前だしたやろ?
どういうつもり?
気がすまんからタイマンはってくれん?」

するとビックリ。
双子はハンカチを取り出して
シクシク泣き出した。

『マーヤ(私)は勝つ自信があるから
そんなこと言えるんよ。』

あるかーい。

あんたの方が一回りデカイやん。
勝っても負けても、
許せないものは許せない。

「泣くんなら最初からするなや。」

と、そこへ、例の3人組が入ってきた。

『何しよん?
あんた、まだ殴られ足りんの?』

ニヤニヤしながら囲まれた。

「そっちとの話はついとんやけん
もう、放っといてくれん?
次はこっちの話なんで。」

長くなるんで、結論を言うと…

この日、双子との喧嘩は叶わなかった。

それからは、ツルむのもやめた。

後日、電話で謝ってきたけど
許さなかった。

私は、そのゲーセンに行く回数が

だんだん減っていった。

少し恋バナから、ずれたけど…

きっと智ちゃんの場合は、
終わりがない。

私は今でも彼を好きだし…

付き合うことを
望んでる訳じゃないから、
終わりがない。振られない。

一方的な片想い。

それでも、次の彼氏が出来て
この恋は、とりあえず一段落つくんだ。